私は前向きな漢である。
どのような状況でも、一歩一歩、前へ前へ、男としては小さいであろう24.5センチの足を踏み出していた。
24.5センチ…。
本当は24センチの靴が長さ的にはちょうどよいのであるが。幅がどうしても窮屈になるので、24.5センチの靴を履いているのだ。ちなみにボーリングの貸しシューズは24センチである。
話の筋と関係ないので、長々と書くつもりはないのだけれど。ひとつだけ書かせてもらうとしよう。
メンズシューズのサイズのことである。
なぜに25センチからしかないのだ!
店頭にならぶそのほとんどのメンズシューズは25センチからしかないのである。
ええ柄やなぁと思ってもサイズがあわないので諦めるしかなく。いつも悲しくむなしく悔しい思いをしているのだ。小さい足の男は、一人前の大人の男として扱ってもらえないのか…。
ということで、男女兼用の靴をご購入することも多い。
が、
ウォーキングシューズは、高年齢層も視野に入れているのか。小さいサイズの靴も多い。
ので、
一時期ウォーキングシューズを履いていたこともあったけれど。
ある時、お気に入りのウォーキングシューズを履いてお出かけしていた時である。柴田恭兵張りの華麗な足取りで電車に乗り込むと…。
私の、、、、。
私のお気に入りの靴と、、、、、。
私のお気に入りの靴と同じ靴を履いたおじいちゃんと遭遇してしまったのである。
気付いた瞬間。靴を脱いで窓から投げ捨て、違う靴に履き替えた気持ちになったが。替えの靴を持っているはずもなく。裸足で出掛けることもできないので、そっと目立たない扉側へと陣取った。
私は同じ靴のおじいちゃんをちらちら見ながら。なんだかだんだん可笑しくなってきた。そして、このウォーキングシューズは、人気があるのだろうなと、それならばしかたがないなと、人気の靴を履けてよかったなと、思い直すのであった。
そんな前向きな漢は、ふとびちょびちょになってしまっているハンカチで顔の汗をぬぐいながら振り返ってみたら。
思いのほか高いところまで来ていたのであった。
そして、もうしばらく歩き続けると。
ようやくお寺さんらしいトコまで到着したのであった。
ということで、まだもう少し、私の戦いはつづくのであった。
おわり